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ニューヨーク近代美術館 MoMAの常設階で、この2点がとなりあわせに展示されたのは、確かことしの東日本大震災、3-11の直後ではなかったか。もはや9ヵ月になろうとする。オルテンバーグのジャイアント・ソフト扇風機については、デンキというものの狂気について、酷暑の七月に、扇風機すらもない倉庫で暑さに倒れた親族の訃報とともに浮遊的無計画性散文詩歌として詠った。 いまとなっては、まさに原子力までを使って貪り喰う、われわれ人類のエネルギーに対する飽食欲望を、決定的に象徴する名作であると感じる。完全にメルトダウンしてしまった巨大扇風機は、コンセントも外されて、いまやそよ風すらも起こしようがない。 そのすぐ風下の位置の壁に張られたリキテンシュタインの作品には、津波の洪水に溺れそうな美女が涙ぐんでいる。 "I don't care! I'd rather sink than call Brad for help!"「気にしないわ! ブラッドを呼んで助けられるより、溺れて沈んだ方がマシよ!」とカゲキに宣うかの女。 吹き出しのなかの「ブラッド」というのはかの女が冷たくされたモトカレの名だと想像するが、Bradにはさっぱくぎ、 無頭くぎ、坊主くぎ、クリップなどという意味もある。たとえこのまま溺れ沈もうとも、坊主くぎなど無用のものに頼り、ワラをもつかむ思いで助かろうなどと思うものか、という個人主義大国の気丈な女性像がうかがえる。かの女はとなりの巨大扇風機に向かって叫んでいるのである。 そのメルトダウンしたソフト扇風機といえば、いまや蚊を吹き飛ばすほどの風をも起こせるわけなどないのだが、私どもはとなりの美女にやさしいそよ風を送りつづけているのですよ、というふりをしているようにも見える。ダマされたらいかんぞナ! この扇風機の所有者である日本国と東京電力は、壊れた巨大扇風機から大量に放出される放射能で遅延的無差別大量殺人をつづけている。除染も囲い込みも子どもたちの疎開も、なんにも積極的に行なわれいまま、無能無策、意味不明な戯れ言を吐きつづけ、ほかの原発の稼働と新規原発の輸出だけを承認する。70年前の歴史をまったくなぞってくり返している。 こんなケッタイな国、世界中にあるか! 放射能からの避難旅行でも、年始旅行でもなんでもいいから、少しのあいだ日本を離れてみてください。 少し離れて客観的に観ると、騙しつづける国家と、騙されつづける国民像が、はっきりと観えてきますぜ。このMoMAの広い空間のなかでのオルテンバーグとリキテンシュタインの作品のように、絶妙な組み合わせとしてね。 今日の近代美術批評ショート講座はこれだけ。 数日後に「洪水からの目醒め」続編をアップする予定です。
by nyckingyo
| 2011-12-05 12:46
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